「本麒麟がビールになる」……そんなニュースが注目を集めています。
キリンはなぜ、あえて“新ジャンル”という人気カテゴリを捨ててまで、ビール化に踏み切るのでしょうか?
その背景には、2026年10月に予定されている酒税改正の大きな影響があります。
この記事では、キリンの戦略から他社の動き、そして「新ジャンルは終わるのか?」という視点まで、今知っておきたいアルコール業界の転換点をやさしく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
なぜ本麒麟はビールになるのか?
本麒麟が“新ジャンル”から“ビール”に生まれ変わるのは、単なる商品リニューアルではありません。
背景には、2026年に予定されている酒税改正と、それに伴う市場戦略の大転換があるんです。
キリン、「本麒麟」を新ジャンル→ビールに 10月の酒税改正を受けてhttps://t.co/YQUel2LjKG
— ITmedia ビジネスオンライン (@itm_business) January 15, 2026
本麒麟は今までどんな商品だったのか?
本麒麟(ほんきりん)は、キリンビールが2018年に発売した「新ジャンル」と呼ばれるビール系飲料のひとつです。
「第3のビール」とも呼ばれ、ビールや発泡酒よりも税率が低いため、安価で提供できるのが特徴でした。
価格は350ml缶で税込198円前後と、ビールより約30円〜40円ほど安く、味わいとコスパのバランスで人気を集めてきました。
累計出荷本数は40億本を突破しており、「新ジャンル」の中でも特に人気の高いロングセラー商品となっています。
一方で、価格の安さを支えていたのは「麦芽比率50%未満」という設計。
これは“ビール”として認められるための基準を下回る構成だったため、新ジャンルというカテゴリに分類されていたんです。
しかし、今回の酒税改正によってこのカテゴリに大きな転機が訪れました。
麦芽比率が変わることで「ビール」になる仕組み
結論から言うと、本麒麟が「ビール」に生まれ変わるためには、麦芽の使用比率を50%以上にする必要があります。
日本の酒税法では、ビール・発泡酒・新ジャンルといった区分が、麦芽の量や使われている原料で細かく決まっているんです。
たとえば――
- ビール:麦芽比率50%以上。副原料も一定の範囲内なら使用OK。
- 発泡酒:麦芽比率が50%未満で、ビールの定義から外れるもの。
- 新ジャンル:麦芽を使わない、または発泡酒にスピリッツなどを加えたもの。
つまり、これまでは「価格を抑えるためにあえて麦芽を少なめにした」ことで、ビールではなく新ジャンルとして売られていたわけですね。
ですが、2026年10月に予定されている酒税の一本化によって、この価格差がほぼなくなることに。
新ジャンルは増税、ビールは減税され、350mlあたり54.25円に統一されることで、新ジャンルの「安さのメリット」がほぼ消えることになります。
これを受けて、キリンは本麒麟の麦芽比率を見直し、“正真正銘のビール”として再出発させる方針を決めたというわけです。
消費者への価格影響は?安さはそのまま?
「本麒麟がビールになるってことは、値上げされるの?」
そんな声が聞こえてきそうですが、安心してください。
キリンは今回の本麒麟のビール化に際して、価格は“新ジャンルと同等”を維持する方針を発表しています。
具体的な価格はまだ検討中とのことですが、「増税分を転嫁する程度」にとどめるとのこと。
つまり、これまでとほぼ変わらない感覚で購入できる可能性が高いんです。
なぜそんなことができるのか?
それは、酒税が一本化されることで、新ジャンルの税率が上がり、ビールの税率が下がるから。
従来、ビールと新ジャンルの間には約20円〜30円の税金の差がありました。
それが2026年10月以降はどちらも350ml缶あたり54.25円に統一されるため、価格差が縮まるというわけです。
キリンとしても、これを好機ととらえ、ビールの中でも“安さ”を武器にした本麒麟で新しいポジションを狙っていることがうかがえます。
キリンの戦略と酒税改正の影響とは?
本麒麟のビール化は、単なる商品の切り替えではなく、2026年に予定されている酒税改正という大きな制度変更への対応でもあります。
この改正はビール業界全体に影響を与えるもので、キリンはこのチャンスを前向きに活かそうとしているんです。
2026年の酒税改正で何が変わる?
2026年10月、酒税法の改正によってビール・発泡酒・新ジャンルの税率が一本化されます。
今までは、麦芽比率や原料の違いによって税額に差がありました。
- ビール:税率が最も高い
- 発泡酒:中間
- 新ジャンル:最も税率が低い(=だから安かった)
この構造が見直され、すべて350mlあたり54.25円に統一されることで、新ジャンルの強みだった「安さ」がほぼ消えるんです。
具体的には……
- ビールは減税される(→価格が少し安くなる)
- 新ジャンルは増税される(→価格が上がる)
この結果、店頭価格での差がほとんどなくなるため、消費者からすれば「わざわざ新ジャンルを選ぶ理由がなくなる」状態に。
キリンにとっても、コストをかけて“ビールっぽさ”を演出した新ジャンルを維持するメリットがなくなり、本物のビールとしてリニューアルしたほうが合理的になるわけです。
これが「本麒麟のビール化」という決断につながっています。
キリンの“ビール化”戦略は成功する?
結論から言うと、キリンのビール化戦略にはかなりの勝算があると考えられます。
本麒麟はこれまで「新ジャンル」の中でも圧倒的な知名度と販売実績を誇るブランド。
350ml缶換算で累計40億本以上を出荷しており、「安くてうまい」の代表格として多くのファンに支持されてきました。
そこに加えて今回の“ビール化”という変化は、品質アップ×価格維持という、まさに理想的な進化。
つまり、消費者からすると「これまでと変わらない価格で、本物のビールが飲める」というメリットしかないんです。
さらにキリンは、「本麒麟」は低価格帯、「一番搾り」は標準価格、「スプリングバレー」は高価格帯と、価格別のブランドポジションを明確に分ける戦略を打ち出しています。
そのうえで、新たに注目されているのが「晴れ風」や「キリングッドエール」などのブランド展開。
全体としてキリンは、酒税改正を“攻め”に転じるチャンスととらえ、ブランドポートフォリオ全体を再設計しているのです。
他社(サントリーなど)の動きもチェック!
キリンだけが「新ジャンルからのビール化」に動いているわけではありません。
最大のライバルともいえるサントリーも、同じく2026年10月の酒税改正を見据えて、大きな方針転換を打ち出しています。
具体的には、サントリーの人気商品「金麦」も麦芽比率を50%以上に引き上げ、ビールとして再出発する予定です。
価格についてもキリンと同様、「増税分程度の価格転嫁にとどめる」という発表があり、消費者の負担が大きくならないよう配慮されています。
こうした動きから見えてくるのは、業界全体が「新ジャンルという枠組みを捨て、ビールで勝負する時代に入る」というトレンドです。
- キリン → 本麒麟をビール化
- サントリー → 金麦をビール化
- アサヒやサッポロも、今後動く可能性大
つまり、2026年の酒税改正は、単に税金の話ではなく、ビール市場の構造そのものを変えるきっかけになっているということですね。
新ジャンルの時代は終わるのか?
かつて「節約しながらお酒を楽しみたい」というニーズに応えて登場した“新ジャンル”。
でも、酒税の一本化やビール市場の再評価が進む中で、その役割が終わろうとしています。
ここでは、新ジャンルがどんな存在だったのか、そして今なぜ「終わりの時」を迎えているのかを探っていきます。
「新ジャンル」はどんな位置づけだった?
新ジャンルは、もともと「ビールのような味を、もっと安く楽しめる」ことを目指して開発されたお酒です。
麦芽の使用を最小限にしたり、まったく使わなかったりと、税制上の“隙間”を突いた商品として登場しました。
2000年代初頭から広がり始め、
- ビールの約3分の2の価格で買える
- コンビニやスーパーでも手軽に手に入る
- 見た目も味も“ほぼビール”
といった特徴が受け、家計に優しい選択肢として一気に普及しました。
実際、本麒麟や金麦、アサヒの「クリアアサヒ」などは、新ジャンルとして大ヒット。
お酒を日常的に楽しみたい層にとっては、まさに救世主的な存在だったんです。
でも、時代は少しずつ変わってきました。
若者のアルコール離れ、健康志向の高まり、そして何より酒税制度の変化…。
税制改正が新ジャンル終了の引き金に?
ズバリ言ってしまうと、2026年の酒税改正が“新ジャンル終了”の大きな引き金になっています。
これまで新ジャンルが人気を集めていた最大の理由は「価格の安さ」でした。
350ml缶でビールよりも20円〜30円ほど安く買えることが、日常使いのお酒として支持されるポイントだったんです。
しかし、2026年10月の酒税改正でその“価格差”がほぼなくなってしまうことで、
「だったら、ちょっと高くても“本物のビール”を選ぶよね」
という流れが加速するのは、ある意味当然とも言えます。
しかも、メーカー側からしても、新ジャンルはビールと違って複雑な製法や表現の制限(「ビール」と表記できないなど)があるため、維持するコストが意外と高い。
このタイミングで“新ジャンルをビールに移行する”のは、消費者にも企業にもメリットがある選択肢なのです。
実際に、キリン・サントリーの2社が本麒麟・金麦をビール化すると発表したことで、
今後は他の新ジャンル商品も同じ道をたどる可能性が非常に高いです。
新ジャンル=価格だけが強み
という時代は、まさに終焉を迎えようとしています。
ビールと新ジャンルの差がなくなる時代へ
これまで、「ビールと新ジャンルは別物」という認識が当たり前でした。
でも、これからはその“違いがほぼなくなる時代”に突入していきます。
まず価格。
酒税の統一によって、新ジャンルの“安さ”という最大の特徴が薄れます。
次に味。
本麒麟や金麦のように、すでに味の完成度が高い商品は、ビール化することでより自然に「ビールっぽさ」が増すため、消費者にとっても違和感が少ないんです。
さらに最近では、クラフトビールやノンアルコール飲料など、多様な選択肢が増えてきており、
「ただ安いだけのお酒」は選ばれにくくなっているのも事実。
つまり、メーカーも消費者も、
“本物志向 × コスパ”
という新しい価値観にシフトしつつあるんですね。
キリンやサントリーが本麒麟・金麦のビール化に踏み切ったのは、まさにその象徴といえます。
本麒麟以外にもある?キリンの今後の商品展開
本麒麟のビール化は大きな話題ですが、キリンが仕掛けているのはそれだけではありません。
酒税改正を“攻めのチャンス”と捉え、すでに他の主力商品でもリニューアルや新たな展開が始まっているんです。
晴れ風や一番搾りなどのリニューアル情報
まず注目したいのが、「キリンビール 晴れ風」。
こちらは2026年1月製造品から順次、味とパッケージをフルリニューアルしています。
新しい仕込み条件とホップの組み合わせで、
「すっきりした飲み口」と「締まりの良い後味」に進化したとのこと。
パッケージには「国産ホップ使用」と明記し、品質へのこだわりも前面に打ち出しています。
そして、定番の「キリン一番搾り」も絶好調。
中でも、「キリン一番搾り ホワイトビール」など新たなラインナップが加わったことで、ブランド全体の販売が前年比104%と好調に推移。
実際、5年連続で売上プラスという結果を出しており、キリンの屋台骨として存在感を放っています。
このように、キリンは既存ブランドの“鮮度”を保ちながら、酒税改正のタイミングで魅力を最大化させようとしているんです。
ノンアルやRTD、クラフト系にも注力
キリンは「ビールだけ」にとどまらず、ノンアルコールやRTD(缶チューハイ系)市場、クラフトビール分野にも力を入れています。
まずノンアルコール部門では、2025年9月に登場した「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」が好調。
年間販売目標を上回る55万ケースを突破し、健康志向や“飲まない派”からの支持を得ています。
RTDカテゴリーでは、「キリン 氷結」シリーズが安定の人気。
2025年は前年比100%をキープし、2026年には発売25周年を迎える大型施策も予定されています。
そして注目したいのが、クラフト系の「スプリングバレー」や「キリングッドエール」。
特にキリングッドエールは、2025年に発売されてから年間目標の2.2倍となる130万ケースを販売し、クラフト系としては異例のヒットを記録。
味のバリエーションやプレミアム感が支持され、今後さらに強化されると見られています。
このように、キリンは「本麒麟のビール化」だけでなく、
- ノンアルで“飲まない層”を取り込む
- クラフト系で“こだわり派”を満足させる
- RTDで“手軽に楽しみたい層”に応える
というように、幅広い層にアプローチする戦略を進めているんです。
よくある質問(Q&A)
Q: なぜ「本麒麟」はビールになるの?
A: 2026年10月に酒税が一本化され、新ジャンルとビールの価格差がほぼなくなるためです。これにより、キリンは本麒麟の麦芽比率を引き上げ、“ビール”として販売する戦略を選びました。
Q: 本麒麟の価格は高くなるの?
A: 大きな値上げは予定されていません。酒税の増税分だけを転嫁し、これまでとほぼ同等の価格帯を維持する方針が発表されています。
Q: 酒税改正で何が変わるの?
A: 現在はビール・発泡酒・新ジャンルで税率が異なりますが、2026年10月からはすべて350mlあたり54.25円に統一されます。これにより「新ジャンルの価格的なメリット」がなくなります。
Q: 他社も新ジャンルをやめるの?
A: サントリーはすでに「金麦」をビール化する方針を発表しており、他社も同様の動きを見せる可能性が高いです。新ジャンルというカテゴリ自体が縮小していく流れです。
Q: キリンの今後の注目商品は?
A: 「晴れ風」や「一番搾り」のリニューアルに加え、「キリングッドエール」やノンアルの「ラガーゼロ」など、多彩なラインナップで様々な層に対応する展開が進んでいます。
まとめ
今回の記事では、キリンが「本麒麟」をビールに切り替える背景と、その戦略の全体像について解説しました。以下に要点を整理します。
- 酒税改正により、新ジャンルとビールの価格差がほぼゼロに
- キリンは「本麒麟」を2026年下期からビールとして販売へ
- サントリーも「金麦」をビール化予定、業界全体が新ジャンルから転換中
- 「晴れ風」「一番搾り」など既存商品のリニューアルも同時進行
- クラフトビール・ノンアル・RTDなど多方面で商品展開を強化
このように、キリンは“守り”ではなく“攻め”の姿勢で酒税改正に対応しており、消費者にとっても「ビールをより気軽に楽しめる時代」の到来を感じさせる内容でした。
記事を読んだ後は、ぜひスーパーやコンビニで「本麒麟」や「晴れ風」の今後の変化をチェックしてみてくださいね!
最後までご覧いただきありがとうございます。