2024年度も、ふるさと納税が過去最高を更新しました。
寄付総額は1.2兆円超え、利用者数は1080万人超と、まさに“ふるさとバブル”といえる状態です。
でも、なぜこんなに利用が伸びているのでしょうか?
そして、制度の裏では何が起きているのでしょうか?
この記事では、次のようなことがわかります👇
・2024年度のふるさと納税が“爆増”した理由
・宝塚市が1位になった驚きのエピソード
・楽天と総務省の対立とその行方
・手数料や経費に隠れた制度の課題
・今後ふるさと納税がどう変わっていくのか
制度の裏側を知れば、ふるさと納税がもっと賢く、もっと楽しく使えるようになりますよ。
2024年度のデータをもとに、最新のふるさと納税事情を一気に解説していきます!
24年度ふるさと納税が過去最高を更新した背景とは?
24年度のふるさと納税が1.2兆円を突破し、5年連続で過去最高を更新しました。
この快進撃の背景には、節税目的だけでは語れない“意外な理由”が隠れています。
次のパートでは、そのなかでも特に象徴的な「寄付総額1.2兆円」という数字が意味するものを詳しく見ていきましょう。
総務省が7月31日に発表した2024年度のふるさと納税の寄付額は計1兆2727億円で、過去最高を更新
— Tornado1116231091 (@Hide_o16) August 1, 2025
寄付で潤う自治体がある一方、都市部では税収の流出が拡大
ふるさと納税制度は、制度を見直した方がいいhttps://t.co/g9FWQPozsl
寄付総額1.2兆円の衝撃!何が起きた?
ふるさと納税の2024年度の寄付総額は、なんと約1兆2728億円に達しました。
これは前年度比で約14%増という、驚くべき伸び率です。
なぜここまで急増したのでしょうか?
その背景には、複数の要因が重なっています。
まず1つ目は、物価高の影響です。
家計が厳しくなる中、ふるさと納税を「生活支援ツール」として使う人が増えています。
特にお米など日常の食品がもらえる自治体への寄付が急増しており、新潟県南魚沼市ではコシヒカリ人気が寄付額を大きく押し上げたようです。
2つ目は、寄付をすることで住民税や所得税の控除が受けられる点です。
わずか2,000円の自己負担で高額な返礼品を得られることが、特に年末になると「お得さ重視」の駆け込み需要を生み出しています。
実際に利用者数は、前年度より約80万人増加し、約1080万人に達しました。
これは日本の納税者のおよそ5人に1人がふるさと納税をしている計算になります。
このように、経済的なメリットと返礼品の魅力が相まって、2024年度の寄付総額は過去最高に達したのです。
利用者が1080万人突破!その理由は?
2024年度のふるさと納税の利用者は、ついに約1080万人を突破しました。
これは前年度から約80万人も増加しており、10年連続で過去最多を更新しています。
この“利用者増加”の背景にも、いくつか注目すべき要因があります。
まず1つ目は、「ポイント還元」をはじめとするインセンティブ制度の影響です。
楽天やふるさとチョイスなどの仲介サイトでは、寄付額に応じたポイントが付与されることが多く、「お得に寄付できる」と話題になっていました。
ある調査によると、ふるさと納税を始めた理由の第1位が「ポイントがもらえるから」だったという結果も出ています。
2つ目は、「節税」という目的の明確化です。
年収がある程度高い人にとって、2,000円の自己負担で何万円分もの控除が受けられる制度は非常に魅力的。
SNSやYouTubeでも「ふるさと納税のやり方」や「おすすめ返礼品」などの情報が拡散され、制度の認知が一気に広まりました。
さらに、2024年度は物価高の影響で食料品などの返礼品が「生活の足しになる」と注目され、利用のハードルがより低くなった印象もあります。
これらの要素が組み合わさることで、ふるさと納税は年々“生活に密着した制度”へと進化しているのです。
なぜ5年連続で過去最高を記録しているの?
ふるさと納税は、2019年度から毎年のように記録を塗り替え、ついに5年連続で過去最高を更新しました。
単年のブームではなく、着実に制度として定着しつつある今、その理由を掘り下げていきます。
物価高騰と節税志向が後押し
ふるさと納税の利用者が増え続けている最大の理由のひとつが、物価の高騰です。
食料品をはじめとする生活必需品の値上がりが続く中、ふるさと納税で“実質無料”に近い形で返礼品を手に入れられる制度は、多くの家庭にとってありがたい存在になっています。
特に注目されたのが、米や肉、飲料などの食品系返礼品です。
24年度はコメの価格上昇もあり、新潟県南魚沼市などコシヒカリを扱う自治体への寄付が大きく伸びたのも象徴的でしたね。
加えて、年末になるとテレビやネットで「節税特集」が頻繁に取り上げられることもあり、制度を使わないともったいないという空気感が年々高まっています。
税金控除と家計へのメリット、この2つの“現実的な得”が、多くの人をふるさと納税へと駆り立てているんです。
返礼品競争とネット化の影響も大きい
ふるさと納税がこれほどまでに拡大した背景には、「返礼品競争」と「ネット化の加速」も大きく関係しています。
まず返礼品についてですが、自治体間の“人気返礼品合戦”は年々ヒートアップしています。
もはや一部の自治体では、地元特産品のPRという枠を超え、寄付を集めるために消費者ニーズに合わせた商品開発が行われるほどです。
たとえば、肉・海産物・ビール・果物など、人気ジャンルは明確で、どれも「届いたらすぐに使える・食べられる」という即効性が魅力。
中には、家電や旅行券など、もはや返礼品の“本来の趣旨”を逸脱しかねない品まで登場しており、総務省が注意喚起する事態にもなっています。
次にネット化についてですが、ふるさと納税は現在ほとんどの人が「ポータルサイト」を使って行っています。
楽天やふるさとチョイス、さとふるなどの大手サイトでは、検索から決済までワンストップで完結するため、まるでネットショッピングのような感覚で寄付ができるんです。
さらに、ポイント還元やキャンペーンの多さもネット化の特徴。
これらが相まって、ふるさと納税は“応援”から“お得”へとシフトし、より多くの人にとって身近な制度になりました。
宝塚市が全国1位になったワケとは?
2024年度のふるさと納税で、最も多くの寄付金を集めたのは意外にも兵庫県の宝塚市でした。
これまでランキング上位の常連ではなかった宝塚市が、どうして突然全国1位になったのでしょうか?
市立病院への254億円寄付が影響
宝塚市のふるさと納税寄付額は、2024年度で約257億円に達しました。
なんと、そのうちの254億円は市立病院の建て替え資金として、市民2人からの寄付によるものだったんです。
この大型寄付は、ふるさと納税制度を通じて行われたものとしては異例中の異例。
まさに“一撃”で全国1位に押し上げた特例ケースと言えます。
宝塚市としても、自治体の医療体制を支える資金として非常に助かった一方で、「個人の高額寄付によってランキングが歪むのでは?」という議論も呼びました。
ふるさと納税のあり方として、個別の厚意をどう扱うかという問題提起にもつながったこの事例。
制度そのものが、時代とともにアップデートを求められていることが浮き彫りになりました。

私も宝塚市立病院へ通っていた頃があったので、これには驚きました!
他の上位自治体はどうだった?
宝塚市が突出した寄付額を記録した2024年度のふるさと納税ですが、他の上位自治体にも注目が集まっています。
特に、返礼品の魅力やブランド力が光った自治体が上位を占めていました。
第2位にランクインしたのは、北海道白糠町。
返礼品として人気の高い「イクラ」や「サーモン」などの海産物が強みで、寄付額は211億円にのぼりました。
白糠町は以前からリピーターも多く、常に上位争いをしている自治体ですね。
第3位は大阪府泉佐野市。
ここもふるさと納税の“古豪”として知られ、牛肉や家電など豊富な返礼品ラインナップが特徴です。
一時は制度のルール違反で除外された過去もありますが、現在は復活し、再び多くの寄付を集めています。
第4位は宮崎県都城市。
こちらも牛肉など畜産品が充実しており、ふるさと納税の“肉王国”と呼ばれるほどの存在感があります。
このように、上位自治体に共通しているのは「わかりやすい魅力のある返礼品を提供していること」と「リピーターをつかんでいること」です。
寄付金額だけでなく、継続して支持を得る工夫が大きな鍵となっています。
ふるさと納税を巡る楽天の提訴とは?
ふるさと納税の裏で、注目を集めているのが楽天グループによる“提訴”のニュースです。
ポイント還元で知られる楽天ふるさと納税が、制度を巡って総務省と真っ向から対立しています。
このトラブルの背景には、ふるさと納税の“お得合戦”が激化しすぎた現状があります。
なぜ楽天が提訴?その背景と主張
2024年7月、楽天グループは東京地裁に対し、総務省が定めた“あるルール”の無効を求めて提訴しました。
問題となったのは、2024年10月から施行される「仲介サイトによるポイント付与の禁止ルール」です。
楽天ふるさと納税は、これまで寄付額に応じて楽天ポイントが付与される仕組みを提供しており、ユーザーにとっては非常に魅力的な制度でした。
しかし総務省は、「ポイント目当ての寄付は本来の趣旨とズレている」として、これを規制対象にしたのです。
楽天側は「長年かけて築いてきたサービスモデルが一方的に奪われる」と主張しており、利用者の利益が損なわれることも懸念しています。
この裁判は、単なる企業と行政の対立ではなく、「ふるさと納税は誰のための制度か?」という本質的な問いを突きつけています。
総務省の“ポイント禁止”ルールの狙い
総務省が2024年10月から導入する「ポイント付与の禁止ルール」。
これは、ふるさと納税を扱う仲介サイトが、寄付者に対して独自のポイント還元を提供することを禁止するものです。
なぜ、こうした規制が必要になったのでしょうか?
背景には、ふるさと納税が「本来の趣旨」から逸れているという懸念があります。
制度の本来の目的は“応援したい自治体への寄付”ですが、近年は「いかにお得に寄付できるか」という視点ばかりが強調されるようになってきました。
特に、仲介サイトがポイント合戦を繰り広げることで、寄付先の選定が“地域への思い”より“還元率”で決まるケースが増えたのです。
そこで総務省は、「制度を持続可能な形で運用するために、民間の過剰競争に歯止めをかける必要がある」と判断。
新たに自治体に対して「ポイントを付与する仲介サイトの使用禁止」を義務づけました。
この方針には賛否両論がありますが、少なくとも制度の原点に立ち返るきっかけにはなりそうです。
ポータルサイト手数料の実態と課題
ふるさと納税の運営には、見えにくい“コスト”がかかっています。
その代表が、仲介ポータルサイトに支払う手数料です。
一見スムーズに見える制度の裏で、自治体がどれほどの負担を強いられているのか、しっかり見ておきたいところです。
使用料1656億円…13%が仲介サイトへ
2024年度、ふるさと納税全体で集まった寄付金は1兆2728億円。
そのうち実に1656億円が、楽天やふるさとチョイスなどのポータルサイト運営会社に支払われた「手数料」でした。
これは寄付総額の約13%に相当します。
さらに、運営事務費やカタログ制作費なども含めた「経費総額」は、なんと5901億円にものぼりました。
つまり、寄付金の約半分近くが“事務的なコスト”として消えているのです。
この現状に対しては、自治体側からも「仲介サイトへの依存が強すぎる」「返礼品に使える予算が減ってしまう」といった声が上がっています。
一方、ポータルサイト側も「利便性を提供している対価」として必要なコストであると主張しており、バランスの取り方が今後の大きな課題です。
手数料が自治体の財源を圧迫している?
ふるさと納税によって潤っているように見える自治体ですが、実はその裏側で「財源の圧迫」に悩まされているケースも少なくありません。
その一因が、仲介ポータルサイトに支払う高額な手数料です。
本来、ふるさと納税で集めた寄付金は、地域の福祉・教育・医療などに使われるべき財源です。
しかし、現状では寄付額の最大50%までを経費に充てることが認められており、その中でも仲介サイトの手数料が大きな割合を占めています。
たとえば、人気自治体の中には年間で数十億円単位の手数料を支払っているところもあると言われており、「結局、地元に残るお金が減ってしまうのでは?」という懸念が高まっています。
また、事務負担や人員不足に悩む小規模自治体では、サイト運用業者に頼りきりになっているケースも多く、自前でコスト管理を行うことが難しいのが現実です。
こうした背景から、今後は「手数料の透明化」や「中間マージンを減らす取り組み」が求められる時代に入ってきているのかもしれません。
よくある質問とその答え(Q&A)
Q: なぜふるさと納税の寄付額は毎年増え続けているの?
A: 物価高で返礼品が家計を支える存在になったことや、ポイント還元や節税目的で利用者が増えているからです。ネット化によって使いやすくなった点も大きな理由です。
Q: 宝塚市が2024年度に全国1位になった理由は?
A: 宝塚市に住む市民2人が、市立病院のために254億円をふるさと納税で寄付したことが大きな要因です。これが一気に寄付額全国1位につながりました。
Q: 楽天はなぜ総務省を提訴したの?
A: 総務省が、ふるさと納税の仲介サイトによるポイント付与を禁止する方針を出したためです。楽天は「利用者の利益を奪う行為」として裁判に踏み切りました。
Q: ふるさと納税の寄付金のどれくらいが手数料に使われているの?
A: 寄付総額のうち約13%、金額にして1656億円がポータルサイトなどの手数料として支払われています。全体の経費は約46%にのぼります。
Q: 今後ふるさと納税の制度はどう変わるの?
A: 総務省は2024年10月から、仲介サイトでのポイント付与を禁止する方針を打ち出しています。制度の「応援」という本来の趣旨を取り戻す狙いがあります。
まとめ
今回の記事ではこんなことを書きました。以下に要点をまとめます。
・2024年度のふるさと納税は過去最高の1.2兆円を記録
・利用者数も1080万人と過去最多を更新
・物価高や節税ニーズ、ポイント還元が寄付増加の背景に
・宝塚市が市民からの254億円寄付で全国1位に
・楽天は“ポイント禁止ルール”に対し総務省を提訴
・ふるさと納税の約13%が仲介サイトの手数料として支出
・制度の本来の目的と現実のギャップに注目が集まる
ふるさと納税は、年々制度としての存在感を高めていますが、その反面で制度の“ゆがみ”や“過熱化”も浮き彫りになってきました。
これから寄付を考える際には、「どの自治体を応援したいか」「返礼品だけに注目していないか」など、少し立ち止まって考えてみることも大切かもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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